花鳥山お花見会

2011年4月15日、ふえふき旬感ネット企画の「花鳥山お花見会」が開かれました。笛吹市には3月11日に起きた東日本大震災によって、55世帯184人避難された方がいらっしゃいます。この企画は笛吹市へ避難された方々をご招待し、春の笛吹の風物詩、桃の花を楽しんでいただくと同時に、慣れないこの土地を知るきっかけ作りとして行われました。

皆さまへのご招待状

一つ一つ気持ちを込めて作りました

事前に旬感ネットで招待状を作り、笛吹市の各支所や支援センターを通して招待状を届けていただきました。今回の会場は、旬感ネットが以前花鳥山フラワーウエディングフラワーマーチ桃農家体験等で使わせていただいた杉岡さんの桃畑と、花鳥山の一本杉の公園で行いました。この時期の公園では桜の花、そして桃畑では桃の花を楽しむことができます。また花鳥山は標高が高いため、甲府盆地や南アルプス連峰を見渡すことができます。この日は天気もよく、気温の高い日でした。

花鳥山一本杉の公園

花鳥山から見える桃の絨毯

今回ボランティアスタッフとして、山梨英和大学・山梨英和大学大学院・山梨県立大学の学生さん、職員の方も入れて計17名の方に手伝っていただきました。各グループに分かれ受付・誘導・配膳を手伝っていただきました。また、笛吹市八代町岡地区の「ひまわりの会」の皆さんが昼食の準備をしてくださいました。大きなお鍋で煮込む山梨の郷土料理「ほうとう」の他、心づくしのお料理を用意していただきました。それから、桃の開花情報でお世話になった桃農家の瀬田さんからは、昨年収穫したぶどうを凍らせたフローズングレープや手作りの桃のシロップ漬けをいただきました。このような農家さんたちとの繋がりや、差し入れの心遣いはとても嬉しいですね。

ボランティアスタッフさんに当日の流れを説明している様子

会場のセッティング

受付の準備

大きなお鍋で山梨の郷土料理「ほうとう」作り

「ひまわりの会」さんから、作りたてのよもぎまんじゅうをいただきました

恥ずかしがり屋な瀬田さんからも差し入れをいただきました

準備の時間はあっという間に過ぎ、ご招待したお客さまが受付の公園に集まりました。わいわいスポーツクラブ代表の桑原さんが、バスでわざわざ見晴らしのよいコースを回ってお客さまを送迎してくださいました。そして桃畑会場へお客さまをご案内しました。もう一つの会場となっている杉岡さんの桃畑は、桃の花の時期になると無料開放されます。この日天気がよかったこともあり、招待客の方以外にも全国からお花見に訪れた人たちで花鳥山はとてもにぎわっていました。

会場となった杉岡さんの桃畑

旬感ネット代表

桃畑会場貸して下さった杉岡さん

そしてお花見会が始まりました。まず始めにふえふき旬感ネット代表の小河内がご挨拶、また会場の桃畑を貸してくださった杉岡さんからご挨拶をいただきました。会場では笛吹産の一升瓶ワインや手作りお菓子などが用意され、次にフルートの演奏が始まりました。

フルートを演奏してくださったのは3人のフルーティスト、植田理恵さん、安間由佳さん、西嶋優子さんです。昨年の4月、「旬感ネット」が主催した花鳥山の結婚式でも演奏してくださった方々です。お忙しい中、今回の企画を快く引き受けて下さいました。桃源郷という最高のロケーションの中で、マイクを使わずに生音で聴くフルートの音色はとても心地よく、「春のメドレー」「おぼろ月夜」「崖の上のぽにょ」など春らしいお花見の曲からポップスまで幅広いジャンルが演奏されました。中には一緒に口ずさんで歌う方もいらっしゃいました。また、時々小鳥のさえずりや風の音が加わり、花鳥山の自然の中で心温まるハーモニーが奏でられていました。

後半になると段々しんみりした曲になり、「川の流れのように」の演奏中にはすすり泣く方もいらっしゃいました。そして最後に「ふるさと」が演奏されました。今回フルートを演奏してくださったメンバーの植田さんは親戚が福島で被災し、現在は避難生活を送っているそうです。そんな中、自分に今何ができるのかと模索していました。その様な時にこの企画の話があったそうです。涙ぐみながら話す植田さん、そして会場ではご招待客の方以外にも、ボランティアスタッフの学生さんも泣いていました。特に桃畑の杉岡さんは、軽トラックの裏で目頭を熱くされていました。演奏が終わると、会場にとても大きな拍手が湧きました。会場からは小さな声で「福島が恋しくなっちゃった」「帰りたい」と聞こえました。どんなに小さな声でも、今抱えている状況の辛さや悲しみ、故郷への想いが強く伝わってきました。

そして会場をまた移動し、公園へと移動します。桃畑から公園へ向かう農道からは見事な桃色の絨毯が広がっていました。昼食のメニューは、ほうとう・もろきゅー・菜の花の辛子和え・漬け物をなどです。特にほうとうは、「お店で食べたよりもおいしかった」「具だくさんでおいしい」「最高のロケーションで食べられて幸せ」と嬉しいお言葉をいただきました。学生さんの中には、山梨に来て初めて食べた人もいました。おかわりする方も続出していました。時より吹く爽やかな風が心地よ~い。

桃の絨毯を眺めながら公園の会場へ移動

具だくさんのほうとう

自家製味噌をつけて食べるもろきゅーや漬け物も喜ばれました

桜吹雪が吹く中、お昼をみんなで食べました

中にはおかわりする人も!

愛犬ちゃめ号も気持ちよさそう

食事後は、ご招待客と談話の時間を設けました。3月11日の震災後のことを話してくださいました。震災が起きて3日後、避難を決心。親戚のみんなで集まり、車で避難された方でした。途中で車のガソリンが無くなり、車を捨ててレンタカーを借り、何とか山梨へ辿り着きました。故郷の福島県とは気候も、土地柄も全く違い、不安な日々を過ごしているようです。そのような中で今必要となっているのは物質な物ではなく、ネットワークだと強く感じました。長期化する状況には笛吹市民との交流の場と、人と人とのつながりが今後のキーポイントだと思います。今回の震災で多くの人が「私にできること」を探し、悩んでいたと思います。

悲しみや苦しみ、恐怖や不安・・・これらを全て共感することはできませんが、人に寄り添うことがまず私たちにできることだと思います。

震災の話を聞いている様子

集合写真撮りますよ~!

途中帰られた方もいらっしゃいましたが、最後に参加者のみんなで記念写真を撮りました。急にカメラのバッテリーが切れるというアクシデントが起きましたが、これでみんながリラックスできた(?!)と思います。ご招待客の皆さまから直接今回の感想を聞けませんでしたが、写真に写ったみんなの笑顔を見れば・・・楽しんでいただけたようです。

今回のお花見会は本当にたくさんの方々のご協力で実現できた企画です。ご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました。(取材:ミーシャ&さっさ)

〈ご協力いただいた皆さま〉

杉岡喜美雄さん/桑原明さん/瀬田和美さん/川口さん/ひまわりの会/山梨英和大学・大学院(学生会・The Peace Fellows・ひまわり同好会)/山梨県立大学(山梨エコユースフォーラム)/NPO法人ほっとけない /笛吹市社会福祉協議会ホテルうかい笛吹市役所福祉総務課/被災者石和温泉郷支援センター/ニュー山梨ワイン醸造(株)

 

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