芦川村で初めてのキノコ狩りをしました!

山の樹木が少しずつ色づいてきました。山梨に移住して10年、秋は一番好きな季節です。山梨の秋は、楽しいことがいっぱい!紅葉狩りにトレッキング、キノコ狩り…。ん?キノコ狩り?そういえば、本格的なキノコ狩りってしたことないんですよね。なんとなく楽しそうなイメージはあるんだけど…。よーし、今年の秋はキノコ狩りに挑戦するぞー!と勝手に決意したのでありました。

そんな折、10月10日に金川の森で野生キノコの鑑定会があると聞いて、せっかくだから採ったキノコを鑑定してもらえるように前日に採りに行くことに決めました。

10月9日、前々日の台風から一転、快晴です。秋の青空は本当に気持ちがいいです。

この山に入ります

この山に入ります

初めてのキノコ狩りと意気込んではみたものの、私一人ではどこをどう歩けばいいか全くわかりません。そこで、芦川村の上芦川在住の友人、藤間さんに案内をお願いしました。藤間さんは芦川村に家族で移住して10年ぐらい。フィールドが大好きで芦川生活を満喫されています。目標は『芦川の達人』になることですって。キノコ狩りも毎年行かれるそうなので、今回初心者の私にキノコ狩りの楽しみ方を教えてくださいとお願いしました。

「せっかく来てくれたけど、今年はキノコ出てないんだよ…」と渋い顔の藤間さん。「雨が降らなかったからね。食べられないキノコさえも、生えていない。」とのことでした。藤間さんだけでなく、私の周りでキノコ狩りに行った人は皆、口を揃えて同じことを言っています。やっぱりそうなのね…とがっかりしていたら、「でも、採れなくても、山の中を歩くのは楽しいから。」と言ってくれました。

熊よけ鈴の付いた籠を背負った藤間さんについて、いよいよ山の中へ入ります。場所は藤間さん宅の裏山です。私が初心者なのを考慮して、今日はあまり奥には行かないとのことでした。「山の南斜面がいいんだよ。日当たりのいい方がキノコが出る。」と藤間さんが教えてくれました。木漏れ日がチラチラする森の中を進んで行きます。今日は藤間家の飼い犬ゴンベも同行してくれています。しばらく歩いて行くと、藤間さんが「無いね…」とつぶやきました。「いつもの年ならここに一面出るんだけど…」と言われると、ちょっと残念な気分に…。

ギンリョウソウ別名ユウレイタケとも…

ギンリョウソウ別名ユウレイタケとも…

45度くらいある急傾斜

45度くらいある急傾斜

そんな時、あっ!キノコ!市販されているキノコ型のお菓子に良く似た小さなキノコが目に入りました。ちょっと興奮気味の私に、藤間さんは「これは、多分食べられない。知らないキノコ。」と言いました。あら、そうなの~?ガックリ。気を取り直して数歩進むと、あっ!また!変わったキノコらしきものを見つけました。「これキノコ?」と藤間さんに尋ねると、「これはギンリョウソウ。中に種が出来てるよ。」と教えてくれました。ふぅん、キノコじゃないんだ…、でもこれだって初めて見たのだから嬉しい発見です。なるほど、山の中を歩くのは楽しいものですね。

さて、藤間さんの後をただついて行くだけの私でしたが、だんだん息が切れてきました。それもそのはず、歩いている地面はかなりの傾斜です。しかも先日の雨で地面は濡れています。スニーカーの裏が滑ってきたので、木の枝や、根に摑まりながら進みました。すると次の瞬間、掴んだ木の枝がポキンと折れてしまいました。わあ!と叫びながら、私は斜面を滑って行きました。2m程滑った所で、急斜面に腹ばいでしがみ付きました。「大丈夫?」と上から見下ろす藤間さんは、笑いを噛み殺しているようでした。ぬるっとした地面に掴まる所がなく、必死で今の体勢を維持している私も、自分の体勢の滑稽さに笑いがこみ上げてきてしまいました。笑って腹筋が緩んだその瞬間、腹ばいのまま、さらに5m程をズルズルと滑り落ちてしまいました。しまった!山を甘く見ていてはいけなかった!!藤間さんが急いで、斜面を引き返して降りてきました。顔から笑いが消えています。「掴まって。」と手を伸ばして引き上げてくれました。「靴が良くないね。」と藤間さん。「掴んだ木が腐ってたみたい。」と言うと、「一見生きてるように見えて、死んでいる木は多いから、気をつけてね。」と言われました。自分の太ももを見てみるとジーンズが泥だらけです。「体張ってるね。」と藤間さんにからかわれてしまいました。

キノコ発見!

嬉しいGetの瞬間!

「一歩一歩踏みしめて。自分の体重で自然に止まるから。」と藤間さんにアドバイスを貰い、及び腰ながらもなんとかついて行きます。「尾根のちょっと下の辺りに出るんだよね。下から探すと見つかるよ。上から見ても、見えないから。」そっか、自分の目線より上を探すのね。そうやって血眼になっていると、「あった!」と藤間さんの声。見ると腐りかけた木の根元に、明るい茶色の塊が…。

「クリタケだ。」という藤間さんの指差す方を見ると、一塊のキノコがありました。「あー、でもちょっと遅いかな…。」確かに少し干乾びたふうになっています。藤間さんは、捨てていくつもりのようでした。ふと、同じ木の横を見ると、木の穴に少し埋まった様子で茶色い塊が…!「あ!これは?」と聞いてみると。「あっ、それもクリタケだよ!これならいいよ。やったじゃん。」と藤間さんが褒めてくれました。壊さないように、鎌で藤間さんに採って貰いました。やった!キノコを採った!たった一株だけど。まるで秘密の宝を見つけたみたい!持参したポリ袋に大事にしまいました。

「クリタケって言うの?」と尋ねると、「うん、この辺の人はみんなクリタケって呼んでるんだけど…。もしかするとチャナメツムタケってやつかもしれない。」と藤間さんは答えました。そうか、図鑑にも、チャナメツムタケのことを、地域によってはクリタケと呼ぶなんて書いてありました。あしたの鑑定会で聞いてみようと思いました。

一つ見つけて一気にテンションが上がり、張り切って探したものの、その後はキノコのキの字も見つかりません。「どうする?もう2時間経ったけど。」という藤間さんの言葉に驚いて時計をみると確かにそんな時間です。驚いている私に、「山の中だと時間の経つのが速いでしょ?」と藤間さんが笑って言いました。戻る時間を考えると、そろそろ引き返さなくては日が暮れてしまいます。私達は別ルートを通って、引き返すことにしました。

上りに大苦戦していた私ですが、下りはそれより楽だろうと高をくくっていました。ところが、実際に急斜面を降りてみると、上りよりはるかに怖い!一歩踏み出すごとに、ズルズルっと滑ってしまいます。今度はジーンズの後ろ側が泥だらけに。「体を斜面側に倒して、斜めに降りるといいよ。ほら、ゴンべみたいに降りてごらん。」と藤間さんが教えてくれました。見るとゴンべはトコトコと斜めに降りていきます。ゴンべ、軽やかだ…。ちょっと尊敬してしまいました。

藤間さんと名犬ゴンべ

藤間さんと名犬ゴンべ

途中、木から生えているサルノコシカケみたいなキノコや、ボロボロになったキノコなど3種類ぐらい見つけましたが、全て藤間さんの知らないキノコでした。「一昨年なんて、この山で10種類以上採れたんだけどなー。あの辺にもこの辺にも生えてたんだけど…。まぁ、今年はしょうがないね。」確かに少し残念ですが、自然が相手である以上、これは仕方ありません。こんな年もあるから、豊作の年は喜びも大きいんですよね。
それにしても、午後の木漏れ日の中を、二人と一匹で歩くのはとても気持ちの良い体験でした。確かにキノコは少なかったけど、近頃オーバーワーク気味だった私の心は、かなりリフレッシュされました。

初めてのキノコ狩りは、たった一株しか採れなかったけど、宝探しみたいでとても楽しかったです。袋の中の小さなキノコを壊さないように大事に持ち帰りました。 (取材:さっさ)

キノコ鑑定会レポートへ続きます。併せてご覧ください

 

 

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