宿づくりアカデミー

「トカイもイナカもある暮らし」をコンセプトに、2013年より本格的に活動をスタートさせた芦川ぷらす。
都会と田舎の往来を気軽で身近なものにすることで、人の流れを増やし田舎の経済を活性化させたい、と山梨県笛吹市の限界集落である芦川地区を拠点に、活動を行っています。
これまでに、芦川の古民家を使った出張本格フレンチレストラン「囲炉裏フレンチ」「清流炙りフレンチ 」など、地域食材を使った食のイベントを開催し、ユニークな取組みが話題となっています。
そんな芦川ぷらすが、都会の人に芦川を体験してもらう拠点づくりとして、空家となっている古民家を再生し新たに民宿事業を始めるということで、芦川に取材に行ってきました。

2014年3月4日

この日は、2月14日に関東甲信を襲った記録的大雪から18日目。
市街地では雪解けが進んでいますが、芦川地区ではまだ残雪30センチくらいはありそうです。
雪の影響もあり、芦川へ向かう一本道県道36号線を通る間、他の車の通行は全くありませんでした。

今回再生する古民家は、芦川支所にほど近い、伝統的な銀色の兜造り屋根の家。芦川ぷらすがこの古民家を借り上げ、大掃除、改築後、一棟丸貸宿として7月にオープンさせるということです。
兜造りとは、日本の民家の伝統的な屋根形式の一つで、三角にとがった形がかつて日本の武士が用いた兜に似ていることから名付けられたと言われています。芦川地区にはこのような伝統的な家屋が多く残存しており、国内でも珍しい貴重な地域となっています。

芦川ぷらすでは、7月の宿オープンまでの作業を一般の人が体験を通じて学べるよう「宿づくりアカデミー」として、仲間を募っています。
コンセプト・メイキングや設計・デザイン、解体・改築など貴重な体験が無料でできるとあって県内外から参加者が集まっています。

この日は、「古民家宿 雪かき、大掃除祭り」ということで、十数名の参加者が集まっていました。
都内の大学生やソーシャルワーカーなど、様々なバックグラウンドの人が関心をもって集まっています。
遠方では広島から来たという方も。
まず芦川ぷらす代表の保要さんから、「芦川ぷらす」の活動について、「宿づくりアカデミー」に関してお話があります。

その後、古民家の持ち主の方に敬意と感謝を示し、一斉に作業スタート。

雪かき班

片付け班

築150年程と言われている古民家。当時の暮らしぶりがうかがえるような家具や道具が残っています。

囲炉裏(左)古い家具(右)

屋根裏

昭和39年の山梨日日新聞

山梨中銀の広告入りマッチ箱

地域住民の小林さんも協力。雪かきのスピードは若い人の3倍くらい早いです。芦川のお年寄りは頼もしいです。

外の雪かきが終わったところで、中の家具などをどんどん外に運び出します。

2階からも畳などを落とします。

何年も空き屋になっていたため、物を落とすたびに、ものすごい量の埃が舞い上がります。
苦労しながら、大体の家具を運び出したところで、ようやくお昼休み。

遅めのご飯を食べ終わり、疲れを癒したところで午後の作業開始です。
円陣を組んで気合を入れて再スタート。

この後、4時半ごろまで作業し、夜は芦川の農啓庵に宿泊するそうです。
作業は翌日も続き、持ち出した家財を、家の所有者に確認してもらったり、建築士と改築の打合せなど行う予定とのことです。

代表の保要さん、企画・運営の丸谷さんは、都会と田舎の2拠点移住者を増やしていくために、まず今回の貸宿プロジェクトを成功させ、その後芦川地区で古民家再生宿を増やしていきたいとのことです。
都会と田舎の往来拠点として、どんな宿が誕生するのか、楽しみです。

芦川ぷらすによる「宿づくりアカデミー」今後の予定は以下の通りです。

2014年
3月15日(土)   古民家お祓い&解体作業
3月22日(土)~  古民家解体
3月29日(土)   古民家丸濯い
(詳細:https://www.facebook.com/LuChuanpurasu

多くの自然と日本特有の里山の風景が色濃く残った芦川。
近年、農産物直売所やそば打ち体験施設など、地域性を活かした観光客の受容れ施設建設も進んでいますが一方で、高齢化や空き屋の問題も深刻です。
芦川ぷらすの活動が芦川の魅力の新たなオプションとなり、人の往来が増え地域活性にも結びつけば、空き屋問題の解決に一石を投じることとなるでしょう。

人の流れや滞在スタイルにも多様性が増していることから、今回の「宿づくりアカデミー」や古民家再生宿によって、これまで芦川を知らなかった新たな層が芦川に足を運ぶきっかけとなっていくことに期待します。
どのような人が集い、地域住民と関わり、地域に影響を及ぼしていくのか。
今後の動向に注目したいと思います。

芦川ぷらすHP
http://www.ashigawa.jp/

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