笛吹の常識!?一升瓶ワイン

ぶーちゅー文化

自分の好きな度数で飲めるぶーちゅー

強いお酒をジュースで割ったり、お湯で割ったり、炭酸を入れたりと、お酒の飲み方には色々混ぜて飲む方法があります。ぶどう酒にも、氷を入れて飲む「かち割りワイン」や温めて飲む「ホットワイン」がありますが、それ以外にワインに焼酎を混ぜて飲む「ぶーちゅー」という飲み方があるのをご存知ですか?

「ぶーちゅー」とは、“ぶどう酒”と“焼酎”を混ぜていることからできた造語です。今から75年程前から飲まれていたと言われています。特に、ぶどう酒が手に入りやすい峡東地域(笛吹市・勝沼町・塩山・山梨市)の人や、甲府の屋台で飲まれていました。ワインを焼酎と混ぜるのですから、アルコール度数は30%以上と高く、当時は強いお酒が好きな人や、安く酔っぱらいたい人に好まれ、好みの度数で楽しむ飲み方だったそうです。また、当時のぶどう酒は甘かったため、「ぶーちゅー」は思ったよりも飲みやすく、まろやかな味だったそうです。しかし、その飲みやすさには落とし穴がありました。思ったよりも度数が強いので、足を取られてしまう人が多かったそうです。

なぜ焼酎と混ぜ始めたかというと、それは山梨のぶどう酒(ワイン)の歴史に遡ります。昭和初期、ぶどう酒はぶどう農家が自由に造っていましたが、酒税や醸造免許の関係でぶどう酒を造ることが難しくなりました。中には密造していた農家も少なくはありませんでした。当時、ぶどう酒は高価なお酒でもありました。密造していた農家にとってぶどう酒は大切なお酒です。飲むのはもったいないという気持ちから、日本酒やビールよりも安かった焼酎を混ぜて飲んでいたとも言われています。またもう1つは、密造したぶどう酒は素人が造るので、上手く醸造できなかったことから、焼酎を入れて飲んでいたとも言われています。

戦後、「ぶーちゅー」は山梨県峡東地域を中心に、首都圏各地で飲まれていました。甲府駅前には屋台が多く並び、「ぶーちゅー」と「どてやき(モツ煮)」が名物だったそうです。しかし、1986(昭和61)年の第41回国民体育大会「かいじ国体」が山梨で行われることを機に、その表玄関にふさわしい駅前にと、甲府駅にはステーションビル、駅前広場・平和通りの街路樹整備といった事業が始まりました。そして駅前に建ち並んでいた屋台は全て撤去されてしまいました。現在、甲府市にある「元祖どてやき」という居酒屋さんでは、当時の名物を味わうことができます。(※現在、道路拡張工事に伴い移転のためお店は休業中。来年オープン予定。)また、富山県の有名な黒部ダムの建設時、大町トンネルの掘削作業を行っていた作業員も飲んでいたそうです。首都圏では「ぶどう割り」「赤」、富山県では「赤割(あかわり)」と呼ばれています。富山県では今でも「赤割」を飲んでいる文化があり、居酒屋やラーメン屋のメニューにあります。(富山県の場合は、サントリーの赤玉スイートワインを使用しています。)

2011年、昔懐かしいお酒として「ぶーちゅー」を再現した商品が山梨県内ワイナリー3社から販売が開始されました。度数は当時のような高さではありませんが、市販されている商品は9%から12%と非常に飲みやすくなっており、女性の方にも飲みやすくなっています。中には現代風にハイボールでアレンジした商品もあります。昔懐かしい味わいを再現した山梨県のソウルドリンクで、当時の「ぶーちゅー」を、楽しんでみませんか?

注意本来のぶどう酒と焼酎を混ぜて飲むぶーちゅーはアルコール度数が高くて危険です。お酒に弱い方はご注意ください。

山梨のワイン

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