「大文字焼き」

大文字焼き

送り火や今に我等もあの通り (小林一茶)

一茶が亡くなるその年に詠んだ句といわれています。今はこの世に浮かれていても、いつか必ず誰もがあの送り火とともに帰って行く霊と同じところに行く…という意味だそうです。宗教懸かった物言いで気恥しいのですが、死は誰にでも平等に訪れます。しかし、だからといって死を受け入れるということは簡単にできることではないはずです。

2011年3月11日、日本は過去に経験したことのない大地震に見舞われ、あまりにも大勢の方々が命を落としました。繰り返し流されるニュース映像を見ながら只々呆然となるのと同時に、いくら自然災害とはいえ、何の前触れも無くうぬを言わさず人の命を奪っていく光景に怒りすらおぼえました。お盆の送り火行事として毎年8月16日に行われている一宮町の大文字焼き。今年は、東日本大震災で亡くなられた方々への追悼の思いも込めて、点火前に1分間の黙祷が捧げられました。お盆に迎え火を焚いて亡くなられた方の霊をお迎えし、送り火を焚いてまた送りだす。遺族にとっては、亡くなられた方を敬うという意味だけではなく、こうすることで亡くなられた方が身近にいてくれると感じ、自分への慰めにもなっているんだなと、昨年亡くなった父の新盆の支度をしながら改めて思いました。余談ですが、北野武が著書の中で「自分が死ぬことに興味はないが、死んだ後にどうなるのか(別の世界があるのか)はとても楽しみだ」というようなことを書いていており、個人的には非常に共感しました。(エイチ/2011.8)

 

 

【大文字焼き】

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