ダンスの楽しさを笛吹に！

ストウミキコさんと外山晴菜さんの元演劇人二人によるダンスカンパニー「キリコラージュ」によるワークショップと公演が笛吹市スコレーセンターの主催で行われました。トヨタコレオグラフィーアワード2010のファイナリストでもある二人。CM・映画や舞台の振り付けにも携わる若い二人の柔軟で自由な発想は、笛吹の人たちに何を吹き込んだでしょうか？

2011年9月26日

石和にある清流館でキリコラージュによるワークショップが開かれました。この日の参加者は地元に住む高齢者を中心に約20名ほど。体育館を自由に歩いたり、二人一組でじゃんけん勝負をしたり、キリコラージュの二人のリードで、遊びながら体を動かしました。体が温まったところで輪になります。その中央に一人ずつ出てきて、手拍子に合わせた即興のステップダンスを披露。みなさん始めての体験にもかかわらず、それぞれに工夫した個性的なダンスを見せてくれます。朗らかに楽しんでいる様子は、清流館を和やかな笑いで満たしました。男女二人がペアを組んで、会話のように交互にステップを踏む課題は、ダンスの原点を見るようで、胸に伝わってくるものがありました。ワークショップ終了後、キリコラージュのお二人にお話を伺うと、「笛吹のみなさんは、みんなすばらしいダンサーでした。体力的にも若く、お年を聞いて驚きました。積極的に人とかかわろうという欲求があるのかなと感じました。この場をみんなで楽しもうという気持ちが伝わってきました。とても素敵な時間を過ごせたと思います」とおっしゃっていました。
参加者の皆さんも、今日はとっても楽しかったと笑顔でした。

2011年9月29日

石和スコレーセンターの集会室は、いつもと違う様相です。椅子などは取り払われ、演劇の稽古場のような雰囲気です。照明のセッティングが行われる中、10月1日の公演本番に向けてのワークショップが行われました。今回は子供たちも多く参加していました。キリコラージュの二人の指導で、参加者たちはゲーム感覚のダンスを行います。例えば、前の人のやったことのまねをして、次の人にタッチするというような感じです。でもただまねするだけじゃなくて、そこに自分なりのアレンジを加えます。そんなほんのちょっとの動きの中にも、確実に個性が表現されていて、その個性が見る人を刺激して、コミュニケーションになっていきます。ワークショップが進むにつれ、参加者の気持ちが開放されていくのが見えるような、楽しい時間でした。キリコラージュの二人からは「体はこの世にたった一つしかないおもちゃです。そのおもちゃは持ち運びがとっても簡単。それぞれのおもちゃを使ってみんなで遊ぶと気持ちも一つになる」「笛吹のみんなは、初めから目を合わせてくれて、コミュニケーションをとってくれた。一緒にいい舞台を作れると思う」という言葉をかけられました。公演に向けて心が一つになったようです。

2011年10月1日

スコレーセンターの集会室でキリコラージュのダンス公演が行われました。公演タイトルは「ムスビーナとヒロゲスト」～むすんでひらかなくてもむすんで～　です。事前に公演の見所をストウさんに伺いました。「今回の私たちの作品『ムスビーナとヒロゲスト』は、絆をテーマにしたお話です。むすびちゃんとひろげちゃんというキャラクターが出てきますが、二人を引き合わせてくれる役として、笛吹のみなさんに出演してもらいます。みんなが自由に動いてる姿を見てもらっても楽しいし、お話の筋を楽しんでもらってもいい。お客さんそれぞれに、自由に感じてもらえたらなと思っています」

公演が始まりました。集会室の広い空間に、強い照明がコントラストを生み出して、キリコラージュの二人の動きが、奇妙に浮かび上がります。市民出演者は大事な役どころで出てきました。ワークショップで引き出されたものが、ステージでしっかり生きていたように思います。

のどかな果樹のまち笛吹では、普段ダンスに携わる機会はあまりありません。それでもワークショップの様子を見ていると、参加者が自分の思うままに動くことの楽しさに、気づいていく様子が伝わってきました。体を動かすこと、自分らしく表現すること、人とコミュニケーションすることなど、普段の生活ではあまり意識しないことですが、これは人間の本質的な欲求でもあります。笛吹に楽しいダンスの種を蒔きに来てくれたキリコラージュのお二人。芽が出てくるのを楽しみに待ちたいと思います。（取材：さっさ）

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