なんという爽やかな秋晴れの空!温度も湿度も快適なこんな日は、どこかに出かけたくなりますね。気持ちの良い澄んだ空気を満喫したいから、車はやめて自転車にしたいと思います。笛吹の自然と歴史のロマンを楽しむ1日にしたいです。石和温泉足湯広場でレンタサイクルを借りて、笛吹のまちに、さあでかけましょう!(取材日:2011年9月29日)
【コース概要】
源泉足湯広場 → 笛吹橋 → 浄光寺・熊野神社 → 里の駅 → 金川の森 → 美和神社 → コメリ御坂店 → 国立神社 → 南照院・姥塚古墳 → 熊野神社 → 国衙跡 → 県立博物館 → 鵜飼橋 → 源泉足湯広場
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【コースレポ】
足湯広場でレンタサイクルを借りました。風も無く穏やかな陽気の中を、さあ出発です!桜温泉通りをまっすぐ進んで行きます。久しぶりに自転車に乗りましたが、なんと爽快な乗り物なのでしょうか!ペダルを踏み込むたびにグイーンと進んでいく感覚は、本当に気持ち良いです。桜並木の下をずっと先まで行くと、石和温泉郷の東の入口です。ここから笛吹橋を渡って一宮町に入ります。橋の上から笛吹川を見下ろすと、ゆったりとした水の流れがとてもきれいでした。遠くの方に盆地を囲む山々がうっすらと浮かんでいます。
しばらく走っていると道沿いに丸石道祖神を発見しました。丸石道祖神とは丸い石を祀る民間信仰で、山梨県や長野県で見られます。笛吹市内のあちこちで見かけることができるので、探しながら歩くのも面白いかもしれません。丸石道祖神の写真を撮っていると、背後にこんもりと茂った林に気づきました。その林を目指して、懐かしい雰囲気の路地を入って行くと、こじんまりとしたお寺がありました。浄光寺とあります。昔から地域の人々に大事にされてきたのが伝わってくるような、染み渡った素朴な美しさがあります。お寺の背後に聳え立つ大きな木を見てみたくて裏側に回ってみました。そこには美しい立派な古木が立っていました。木の下には小さな鳥居があり、その奥にやはり小さな熊野神社がありました。心が落ち着く美しい風景にしばし見とれました。
一宮は葡萄畑や桃畑が多く、長閑な景色が続きます。しばらく進むと「七五三石」の交差点に出ました。ん?なんと読むの?…しちごさんいし?…実はこれ「しめいし」と読むのです。歴史のある笛吹にはこうした変わった地名が時々あって、とても興味深いです。ここを右折してぐんぐん進んで行くと「里の駅」に着きました。山梨の様々な特産品が揃うドライブインです。広いフロアには、ワインやお菓子の他に、農産物やパン工房があります。日替わりランチのあるレストランもありましたが、今日は予算が無いのでパン工房でパンを買って行こうと思います。店長さんおすすめの生クリームパン(130円)とくるみパン(80円)を買いました。
〈里の駅 いちのみや〉
住所 山梨県笛吹市一宮町東原65
電話 0553-39-8000
営業時間 9:00~19:00(レストラン11:00~21:00、パン工房9:00~17:00)
定休日 年中無休
公式サイト http://www.satonoeki.com/index.htm
国道20号を渡り、まっすぐ進みます。緩やかな上り坂を上りきれば、そこは山梨県森林公園金川の森です。公園の中にはサイクリングロードがあります。木漏れ日が降り注ぐ美しい景色の中、サイクリングを楽しみます。途中、自転車を降りて芝生広場へ。自動販売機でペットボトルのお茶〈150円)を買いました。公園内を流れる小川のせせらぎを聞きながら、ベンチに座って先程購入したパンを食べました。屋外で食べる食事は最高です。食後は芝生の上に横になって少しお昼寝。空がこんなに青かったことを、久しぶりに思い出しました。
お昼休み終了。御坂側へ向かって進みます。四の橋から見た金川は流れが速くてとてもダイナミックでした。御坂みちに交差する長い下り坂を下りて行きます。坂を下るこの爽快感!自転車の醍醐味ですね。中央自動車道の高架も過ぎると、やがて「夏目原」の交差点に出ます。そこを右折して県道311号に入りました。
少し行くと美和神社の入口を示した石柱が出てきました。分岐した道を馬場川に沿って進んで行くと、古めかしい鳥居が見えてきます。この季節、参道の脇には彼岸花が美しく咲き誇っていました。進んで行くと美和神社に到着します。美和神社は甲斐の二之宮の社格を持つ神社で、武田家とも縁が深いそうです。歴史を感じさせる建物がとてもきれいでした。
このあたりでちょっと暑くなってきました。自転車は思っていたよりも運動量があるようです。午後に入って日差しも強くなってきて、夏のように照り付けています。今日は油断して帽子を持ってこなかったので、ホームセンターコメリに寄って買うことにしました。せっかくなので、普通の麦わら帽子じゃなくて野良帽子を買うことにしました。家の周りの草取りをする時にも活用できますし、これをかぶると、なんとなくこの辺りの風景に馴染めるような気がするのでした。398円なり。驚くほどリーズナブルです。
〈コメリハード&グリーン御坂店〉
住所 山梨県笛吹市御坂町夏目原字前の木1254-1
電話 055-261-7540
営業時間 平日9:30~20:00/休日9:00~20:00
公式サイト http://www.komeri.bit.or.jp/
この辺りで311号から少し逸れて二之宮の集落を通ることにします。笛吹市は全体的に史跡の多いまちですが、この辺りにもたくさんあります。中央道の高架をくぐると、赤い鳥居の国立神社がありました。「国志」にも記述のある神社だそうです。境内の樹木が涼しい木陰を作っていました。少し行くと南照院が出てきました。大くて立派なお寺です。南照院の後側は小さな小山のようになっています。奥へ行ってみると小山の前に小さな鳥居があって、その奥に階段があります。階段の先には小さな祠が祀ってあります。鳥居の横には道祖神が数体あり、その隣にもう一つ別の階段がありました。地震で崩れやすくなっているため、立ち入り禁止となっていましたが、これが姥塚古墳の開口部です。姥塚古墳は6世紀後半に造られた東日本最大の横穴式石室を持つ古墳だそうです。入口から奥を覗くと、暗い石室が1400年前につながっているような、不思議な感覚に包まれました。
姥塚古墳を後にして、細い道を進んで行きます。道の脇の葡萄畑ではたわわに実った葡萄の実が午後の日差しに輝いています。少し行くと熊野神社に到着しました。ここも地域に根ざした歴史を感じる神社です。境内には丸石道祖神が祀ってありました。神社を出て成田と呼ばれる集落を進みます。どこかのお庭のキンモクセイが甘い香りを放っています。この辺りの住宅は、昔の家屋を大切に改修しているものも多く、長閑で懐かしい素敵な雰囲気を醸し出しています。途中小さな無人販売所を見つけました。美味しそうなプチトマト(200円)をついつい買ってしまいました。狭い路地を気の向くままに進んで行くと国衙跡の石碑がありました。隣には丸石道祖神もあります。知らないうちに国衙という集落に入っていたようです。甲斐の国府は春日居町国府からこの地に移転したと考えられているそうです。古くから政治の中心的な場所であったなら、史跡が集中しているのもうなずけます。この場所に甲斐の都があったことを想像して、しばしロマンに浸りました。
再び311号に出ると、すぐそこに山梨県立博物館「かいじあむ」がありました。古墳、国衙跡、武田氏の時代の神社などの笛吹市の史跡を巡ってきた後なので、その辺りの事を詳しく説明している常設展示はなお一層興味深いかもしれません。私は以前からよく行っているので、今日は入館せず、敷地内の公園を散策しました。
山梨県立博物館 http://www.museum.pref.yamanashi.jp/index.html
かいじあむを後にして311号を北上します。長塚五叉路に来てみると、ここにも丸石道祖神がありました。石和に向かって進んで行くと、途中右側に笛吹市消防署があります。ピカピカのかっこいい消防車をみることができました。笛吹川にさしかかりました。今回渡るのは鵜飼橋です。橋の欄干に鵜のモチーフが装飾されています。上流を見ると、午前中に渡った笛吹橋が見えます。鵜飼橋から見る笛吹川は水面がキラキラしていました。橋によって川の見え方が違うのも素敵だなと思いました。
鵜飼橋をわたって石和の町に帰って来ました。葡萄畑の横を通って自転車を漕いで行きます。桜温泉通りに差し掛かるころには、西日が強くなっていました。ただいまー!やっと足湯広場に到着です。はぁ~けっこう疲れました。でも、体を動かした後の心地よい疲れです。昔から神聖とされてきた場所は樹によって守られています。史跡を巡れば、同時に森林浴もできます。金川の森でもゆっくりと森の空気を味わって、今日は本当にリラックスできました。全行程約15キロメートル、お昼休憩やあちこち寄っている時間も入れて約4時間30分の旅でした。1000円の所持金の残金は42円でした。自転車をお返しして、本日のサイクリングは終了です。お疲れ様でした!(取材:さっさ/2011.9)