「桃の実」
桃紅く 繁りの中に 数へらる (小林波留)
観てのとおり、青々とした葉の繁りも美しいのですが、その中にある紅い桃はさらに美しく豊かだ…という句です。本来、「桃の実」は秋の季語ですが…笛吹市でもハウス桃の出荷が始まり、果実王国に様変わりする、あえてこの時期に出してみました。桃の花のトンネルも見事なものでしたが紅い実をたわわにつけ反り返る枝もまた美しいものです。桃は元々、花を愛でる観賞用のものでした。実を食すのは近世になってからの習慣だとか…昔から桃は霊気の宿る木とされてきました。「兆」は”妊娠の兆し”を意味し、 桃が「女性」や「ひな祭り」と関係があるのも、こんな所以からのようです。昔話の桃太郎は桃から生まれた強い男の子のお話で相当昔からあったようだし…桃の原産地である中国では桃の木は邪気を祓い不老長寿を与える植物として親しまれているようです。(papico/2010.4)