視察レポ「小布施・観光としての農業」

2010年11月8日、長野県小布施町へ視察研修に行ってきました。この研修はふえふき旬感ネットが主催する農商工連携等人材育成事業プログラム全6回の講座のうち、第5回目にあたります。「観光としての農業」というテーマで現地講習の形をとり、「ア・ラ・小布施」の関悦子さんと「小布施町振興公社」事務局長の富岡広記さんにお話をしていただき、小布施町を実際に見学しました。

関 悦子さん

富岡 広記さん

小布施町は半径2kmの円の中に町がすっぽり入ってしまう程、小さな町です。しかし、年間の観光客数はおよそ120万人以上にものぼり、リピーター獲得数はなんと全国1位。訪れる観光客の主な目的は「飲食」や「特産品などの買い物」だそうです。なぜ小布施町は人気なのでしょうか。その背景には、まちづくりが深く関係していました。

栗で有名な小布施町ですが、この町には豊かな自然に囲まれた平坦な土地と浮世絵師葛飾北斎の作品がありました。小布施を愛した北斎の作品が町外に流出しないように、町で管理・保存するために建てた「北斎館」。美しいまちづくりのために町中に花を植え、住人だけでなく観光客を楽しませるような「花のまちづくり」。小布施の町並みは住む人の生活の利便性と訪れる人たちを和ませる、空間の調和が計られた町になりました。

小布施町では柑橘以外の果物が収穫でき、中でも栗には最適な土壌です。小布施の代名詞とも呼べる「小布施の栗」。しかし、小布施町の栗の生産量は全国的に目立つ程の栽培量ではありません。年間出荷量の順位を見ても小布施町は入っていません。それなのになぜ小布施の栗は有名なのでしょうか?それは「小布施」をブランド化しているからだそうです。栗以外にも「小布施丸なす」や、各老舗栗菓子店の商品にも「小布施」という文字を必ず入れるように徹底したそうです。まちづくりによって道や建物から農業・商業への取り組みも変わり、「小布施」の知名度は少しずつ上がっていきました。

開館から33年目を迎えた肉筆画美術館「北斎館」

紅葉が始まった小布施郊外

町の手入れをするア・ラ・小布施の方

小布施町の郊外に、6次産業センターという施設があります。
6次産業とは、農業が食料品の原料を生産する1次産業にとどまらず、食品加工(2次産業)や販売・情報・観光(3次産業)へ積極的に乗り出し、新たな付加価値を生み出す新産業を創出することです。
1(農業)×2(加工)×3(販売)=6次産業
この仕組みが農業の6次産業化です。小布施町の6次産業センターでは、「農業は、強く・優しく・面白く」をモットーに、農産物の生産(1次産業)から加工(2次産業)・販売(3次産業)までを行う、総合産業(6次産業)を目指しています。

1階が農産物直売所になっている六次産業センター

6次産業センターと同じ建物には、農産物直売所もあります。ここでは小布施産の栗・桃・りんごなどの果物や野菜類、そして6次産業センターで加工したりんごジュースやクッキーなど、多くの加工品が販売されています。小布施町ではただ商品を売るだけではなく、小布施産商品のブランド化を目指し、「小布施にしかないもの」「小布施でしか味わえないもの」という付加価値を商品に付け、小布施ブランドを確立しています。このことが直売所にも大いに活気を与えています。

フローラルガーデンおぶせ

講義後、6次産業センター向かいにある「フローラルガーデンおぶせ」内の「OBUSE花屋」で昼食をいただきました。ここは可能な限り小布施産にこだわった「地産地消」を実践しているお店で、旬の野菜を使ったメニューをいただくことができます。

OBUSE花屋入り口

店内は木を基調とした暖かい造り

地元野菜のサラダ

小布施産かぶのポタージュスープ

地産地消の良いところは、旬の新鮮な農産物を地元で食べられることです。町内の至る所で直売所のようなお店を見ました。小布施町で作られた野菜や果物・加工品が並べられ、販売されていました。小布施町には季節ごとに美味しい食べものがたくさんあります。飲食を主な目的とした観光は、農業に元気がなければやっていけません。小布施町では農業と観光が密接に繋がり、観光という大きなマーケットによって「地産地消」が実現されているのです。

市場のように多くの野菜・果物が売られている

店の軒先には干し柿がありました

お土産屋も充実しています

このようなまちづくりや地域ブランド化によって、小布施町は全国に名が知られる有名な町になりました。どこか懐かしい風景が残る和と洋が混在した町並みや、旬のおいしい食材。きっと訪れた観光客の誰もが、小布施町のリピーターになるのではないでしょうか。今回の視察では、人々の日々の生活そのものが「魅力ある観光資源」であり、それが「小布施町の財産」であるということを学びました。笛吹市も小布施町以上に素晴らしい自然景観に恵まれ、豊かな農産物があります。この地域資源をいかに活かしていくのか、小布施町で学んだことを糧に、最後の講座へ臨みたいと思います。(取材:ミーシャ)

農業が育む地域の力

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農家レストランへ行こう!

野菜ソムリエで地域おこし

 

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