視察レポ「農家レストランへ行こう!」

2010年9月29日、栃木県にある農家レストラン「花農場あわの」へ視察研修に行ってきました。この研修はふえふき旬感ネットが主催する農商工連携等人材育成事業プログラムの第3回目の講座です。「地産地消のサイクルシステムを作る」をテーマにした全6回の講座で前回まで講師を招いた講演会形式でしたが、初の視察企画へ。この日は合計24名(内スタッフ4名)が参加しました。

約4時間で花農場あわのに着きました!

「キッチン花農場ミントハウス」へ

栃木県までバスで向かいます。朝8時半に集合場所の石和スコレーセンターを出発。バスの中では自己紹介をしたり、第2回講座「野菜ソムリエ」加藤恵美子さんの講演DVDを観たり、長時間の道のりを楽しみました。途中事故渋滞に巻き込まれましたが、12時半頃に無事目的地の「花農場あわの」へ到着。

アップルミント入りのお水

お腹ペコペコ

ポテトとベーコンのジェノバ風スパゲッティー

そして花農場あわの内にある洋風の建物の「キッチン花農場ミントハウス」で昼食。それぞれメニューから食べたいものをレストランでいただきました。コップに入ったお水はアップルミントの匂いが。私は「ポテトとベーコンのジェノバ風スパゲッティー」を注文しました。バジルの爽やかな香りがテーブルに広がり、具のベーコンも肉厚!スパゲッティーのゆで加減も程よくてチーズとバジルのバランスが絶妙でした!その後、代表の若林ふみ子さんにお話していただきました。

「花農場あわの」は1999年に、8人の農家の主婦がハーブ園とレストランを開業し、今年で12年目を迎えます。若林さんは元々、地元の粟野町農家の主婦138名が属する粟野町「生活改善グループ」の一員でした。その中で起業する話を持ちかけ、その案に賛同したメンバーが今の8人です。開業する前は資金集めと家族への理解が必要でした。そのために有限会社を設立し、また栃木県地域興しマイスターでもあったフランス料理の音羽和紀シェフの元で料理とレストランサービスを学びました。農園のハ-ブを活かす料理は西洋料理、つまりフレンチだと思ったからです。音羽シェフは大学卒業後、7年間ヨーロッパで修行し、帰国後に故郷の栃木県宇都宮市にあるフランチレストラン「オーベルジュ」を開いた方で、地場の産物を使った料理の開発・県の地域興しマイスターを務めるなど、地域の食環境のためにも活動して30年になります。1年間ずっと片道1時間かけて音羽シェフから学びました。そしてその成果を若林さんたちは大反対だった家族にプレゼンテーションし、試食で納得させ、今や年間3万人も集客するお店となりました。また平成14年には農林大臣賞を受賞し、現在もなお1人も欠けることなく8人のメンバーで営業しています。

レストランのメニューはイタリアンフレンチで、農園で作ったハーブや地元の新鮮で安全なお野菜を使っています。ピザ・パスタ・パエリア・スープ・リゾット・デザートなど旬の食材を使ったメニューも季節ごとに変わります。中でも人気なのが、フレッシュハーブサラダピザとハーブティーです。

店内でもドライフラワーを販売しています

天井にドライフラワーが!

「キッチン花農場ミントハウス」では1Fでお食事、イベント、お買い物、押し花・ドライフラワー教室などを楽しむことができます。テラス席も含め88席あり、テラス席ではペットの同伴が可能です。イベントとしてピアノやオカリナのコンサートを開催することもあります。2Fは乾燥機があり、収穫したハーブを収納しています。閑散期の冬には12月クリスマス、1月お正月リース、2月バレンタイン、3月ホワイトデー、5月母の日とドライフラワーやリースを百貨店などで販売し、1年を通して収入を得られるよう工夫しています。ドライフラワーは講習会で販売する他、デパートや小売店へ直接売り込み歩いたそうです。その努力が今の花農場あわのの魅力になっています。

お庭から見たミントハウス

若林さんのお話にみんな熱心に聞いています

農場へ若林さんに案内していただきました。
農場の面積は9,000㎡あり、200種を超えるハーブや草花をレストラン経営の合間をぬって、農作業も自分たちで行っています。元々砂利混じりの耕作放棄地だった土地を借り、ほぼ開墾状態から始めました。春にはカモミール・花菱草(ハナビシソウ)・ハンカチの木が咲き、夏にはベルガモット・ラベンダー・酔芙蓉(スイフヨウ)、秋にはパイナップルセージ・メキシカンブッシュセージと季節ごとに彩りだけでなく香りも変わります。

花農場あわのを出て、バスで5分ほどのところにある直売所「清流の郷かすお」へ。こちらの直売所ではバニラ・ゆずリゾット(お米入り)・ハトムギ・抹茶・小倉・ごま・チョコなど10種類のジェラートがあり、試食・見学をしました。アイスクリーム加工は直売所の中で行い、販売しています。試食で食べた季節限定のトマトシャーベットは地元のトマトを皮以外丸ごと使ったもので、トマトの種までしっかり入っていました。味はトマトにある甘さとうっすらと酸味があってすっきりした味でした。

かすおを出てバスは移動し、予定では「道の駅みぶ」に行く予定でしたが、時間の都合により西方町国道293号線沿いにある「にしかた道の駅」へ。地元で採れた農産物、物産品を販売する「農産物直売所」、地域食材を使用した「農村レストラン」等の施設がありました。町の特産品である「いちご」や、西方産コシヒカリ「桜おとめ」が有名だそうです。笛吹市の直売所とは異なり温泉施設と一緒になっていたり、栃木県内の直売所スタンプラリーを開催していたり、特産物をアイスクリーム加工にしているなど、敷地の使い方や販売の仕方が参考になりました。

17時頃「にしかた道の駅」を出発し、21時前に石和スコレーセンターに到着。皆さん両手にはお土産の数々、大満足です。

今回の視察研修では花農場あわのがなぜ魅力的なのか、なぜわざわざ遠方から足を運ばせるのかを学べました。何度も足を運んでもらう為に「付加価値」を付けること、つまり「ここでしか味わえない」「ここにしかないもの」が花農場あわのにはあるからです。「お客さまの笑顔を見たいから、それが生き甲斐となるから辛いことがあっても続けられる」それが若林さんたちが持つ「変わらない本格的な味を作る」という精神と高いクオリティーに繋がっているのでしょう。

若林さんのお話や各直売所に行って刺激を受けてきた24名、みなさん長旅お疲れさまでした!(取材:ミーシャ)

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