笛吹市八代農業振興セミナーに行ってきました

2月12日午後、雪混じりの冷たい雨が降る中、笛吹農協八代支所の会議室へ向かいました。八代農業振興セミナーが開催されるのです。今回のテーマは「産地の維持に必要な担い手対策」です。農業従事者の高齢化が進む中、後継者不足は全国的な問題です。もちろん、笛吹市も例外ではありません。今後のために、今何ができるのか? 市民のそんな思いを映し出したかのように、セミナーには多くの参加がありました。

山梨県総合農業技術センターの大澤一仁さん

担い手対策の事例について講演された大澤さん

大勢の参加者

大勢の参加者。市民の関心は高い…

本日講演をしていただく講師はお二人です。まず最初は、山梨県総合農業技術センターの大澤一仁さんです。今日は颯爽とスーツを着こなされていますが、普段は作業着で技術指導をされている現場の専門家です。大澤さんがおっしゃるには、笛吹市は国内有数の果樹産地ということもあって、県全体に比べれば、担い手の高齢化は遅いそうです。今日のセミナーに来ている人たちの年齢も、他地域に比べて随分若いとのことでした。それでも、10年後は大丈夫か?といえば、そうではありません。今から将来を見据えて、何らかの対策に取り組んで行くことが大切だということでした。

今まで、農家は担い手が現れるのを待っているだけでした。しかし、これからは「担い手を確保して育てる」ことが大事だと大澤さんはおっしゃいます。しかも「地域ぐるみで育てる」ことが大変有効であるとのことです。

一つの案は「雇用する経営」への転換です。複数の農家が、個々の経営はそのままに、新たに法人を設立し、事業として農作業の一部分を雇い人に作業受託させます。そこで研修生も受け入れます。これは新規就農者を育てつつ、各農家の人手を確保することができるしくみです。法人化することで、研修生の受け入れ、雇用がしやすくなり、行政の助成も受けやすくなります。近い将来、この形態が一般化していくのでは…という大澤さんのお話でした。私達もそんな時代が来ることを、念頭に置いておくことが必要ですね。

そして、県内の担い手対策の実例をいくつか紹介してくださいました。作業受託グループを法人化した事例の他、直売所を運営する団体の法人化、家族経営の法人化の例をあげ、各ケースのメリットとデメリットをあげてくださいました。たいへん参考になるお話でした。もちろん、地域によって事情は異なり、地域にあった方法を検討していかなくてはなりません。果樹園は一旦荒れてしまうと、元に戻すには多大な労力と費用がかかります。荒廃する前に引き継げるよう、担い手を育成する仕組みが必要とのお話でした。

梨北農協穂坂支店の保坂耕さん

身近な体験を語って下さった保坂さん

お二人目の講師は梨北農協穂坂支店の保坂耕さんです。「JA生産部会による研修受入事例」について体験談をお話下さいました。

保坂さんお住まいの地区は、笛吹市と同じく葡萄の専業農家が多い果樹地域です。担い手の高齢化が甚だしく、耕作放棄地の増加が深刻でした。当然、出荷量は減少し、このままでは産地として衰退してしまうと危機感を持つ人が多くなりました。そこで、JAの生産部会が主体となって研修生を受入れる「担い手プロジェクト」を組織しました。生産部会によるこういった組織は珍しかったのですが、農協が関わる事で、農地の情報、組合員の情報、行政の情報、農機具の情報などを得やすいメリットがありました。 保坂さんたちは、栽培員全員に畑の貸借の意向調査を行い、貸付可能な農地を組織として把握しました。

そして複数の農家が、ローテーションして研修生を受け入れました。各個の負担が軽減し、繁忙期には農家側も、摘粒などの研修を「労力」として活用する事ができました。また、研修生の側にもメリットがあります。複数の農家を回ることで、農家ごとに様々な考え方があることを学びます。また、地域の主力農家と親しくなれることで、自立経営するための生きた情報を得やすくなります。そして研修を終えた人々が農業のプロとして育った時、専門的な技術をもつ援農アルバイトとして、農家の力になってくれるのではないかと保坂さんは期待しています。ただ、高齢者の中には遊休地であっても、「取られちゃ困るから土地は絶対貸さない。」という人もいるそうです。まだまだ、そのへんの意識改革が必要だとのお話でした。現実味のある身近な体験をお話いただいたことで、イメージが随分明確になった参加者も多かったのではないでしょうか。

簡単ではない問題も、時代の変化に対応し、地域で協力していけば、道が開けていくかもしれません。どんな未来にしたいのか、笛吹市民全体で考えていきたいですね

お花の抽選会

講演後はお花の抽選会

シンビジューム

素敵な香りのランです

講演後はお花の抽選会がありました。多くの人に素敵なお花が当たりました。各云う私もこんなりっぱなシンビジュームを頂きました。ありがとうございます!早速旬感ネットの事務所に飾りました。(取材:さっさ)


 

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